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夢を追いかけた俳優の卵たちの悲しい結末。でも、そこから現実を見つめる。 [My Opinion]

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もう10年以上も前になるが、

太田組ワークショップというのを月イチでやっていた。俳優を目指す若い子たちを集めての演技レッスン。参加費は取らない。僕が仕事の先々で出会った、或いは演劇学校で教えている生徒で優秀な子たちを集めての勉強会だ。

というのは当時、僕は深夜ドラマなどの監督はしていたが、映画監督デビュー前で、僕の意図を理解した、実力ある若手を探していたのだ。映画撮影は本当に時間がなく、意思疎通をする余裕がない。事前に打ち合わせをしたり、十分なコミニュケーションを取る時間もない。だから、せめて、若手で僕の方法論を理解する子たちを育てて出演させることで、現場では初対面の俳優との意思疎通に時間を費やそうというものだった。

ある意味で劇団方式。演出家と俳優は同じ劇団で意思疎通があることで、寄せ集めのドラマ撮影よりチームワークがあり、素晴らしい芝居ができる。それを映画撮影でも実践する。そのためにワークショップを開き、若手に育ってもらおうと考えたのだ。さらに、その子たちのキャラに合わせて役を作り。主演だけを有名俳優を迎えて撮影する。劇団でいうところの主役だけ客演という形だ。

そんなことを2年ほどやっていて、

そこそこ素質のある子たちも集まった。多くは俳優事務所に所属しており、ちょこちょこ仕事はしていたが、アルバイトをしなければ食えない状態。オーディションで勝ち残ることもなかった。が、やる気はあり、期待していた。

深夜ドラマの演出をするときは、それらの子たちを起用。現場を経験させる。いよいよ、映画が決まり、それに向かって準備が始まった。が、結果的に、ワークショップメンバーは誰も映画には出演することはなかった。

というのは、皆、脱落して行ったのだ。ある女の子は彼氏に振られて、ショックで芝居が出来なくなり。そのままいなくなった。ある奴は実力が今ひとつなのに、映画に出られるつもりになり、努力をしなくなった。そして、ある俳優の卵は、彼に頼んだ役が気にいらない。役を書き直せといいだして降ろすしかなかった。

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そんなふうに思い上がったり、実力が足りなかったり。努力を止めたり、恋人と揉めたりということで、潰れたり、投げ出したり、降ろさざるを得なかったりで、誰もいなくなった。そんな中で、ひたすら努力する女の子がいて、彼女だけでも連れて行きたいと思ったが、重い病気にかかり女優業を辞めなければならなくなった。

辛い日々だった。

夢追う若い子たちが次々に脱落していく。壁にぶつかり、諦めてしまう。そして僕は何も手助けができない。勘違いする奴はいくら諭しても駄目。落ち込んだ子はいくら励ましても心を閉じたまま。そして、いくら、がんばっていている子でも、やはり実力が供なわない子をキャスティングできない。

そんな経緯で、メンバーからは誰も起用することはできず。映画の準備で多忙になり、ワークショップをする余裕もなくなる。そして、映画撮影に入り、そこで仕事をしたプロの若手たち。僕のワークショップに来ていた子たちとは比較できないほど、もの凄い実力。プロ意識もあった。ある俳優事務所のマネージャーさんに言われた。

「監督は監督なんですから、育って来た俳優を使って撮影をすればいいんですよ。俳優事務所の経営者じゃない。それは僕らの仕事。俳優の卵なんて何百人も育てて1人がブレイクすればいい方。そのためのエネルギーと時間は膨大ですよ。監督がそんなことに時間を費やすより、よりよい映画を作ることに時間を使った方がいいですよ」

その通りかもしれない。どんなに応援しても、彼氏とトラブったから...と塞ぎ込み連絡が来なくなる。演技ができなくなる。勘違いして「俺はビッグだ。プロでも通用する!」と思い上がる奴。慣れてくると努力を怠るくせに、映画に出るつもりになる子。最初の頃のやる気を皆、失ってした。

その後、太田組ワークショップは開いていない。

頼まれて、仕事として講師をすることはあるが、個人として、若手俳優を育てる活動はしない。あの頃の参加者は皆、こういっていた。「映画に出るのは昔からの夢。どんなことをしてもがんばります!」でも、ほとんどが、いや、全員が些細なことで傷つき、潰れて行った。

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でも、今はその理由が分かる。彼ら彼女らがなぜ、駄目になったか? 厳しいようだが、それは「俳優になる」ということが本当に心からの願いではなかったからだ。俳優にならなくても生きて行ける子たちだった。結果を見れば分かるように、仕事より恋人だったり。プライドが高すぎた、プライベートが大事だったり。俳優になることに憧れていただけ。芝居をしないと行きて行けない!という子たちではなかったのだ。

命がけでやる!という思いがなければ、生き残ることはできない。プロで生き残り、第1線で仕事をする若手俳優を見るたびに、そう感じる。俳優業だけではなく、どんな仕事でも同じではないだろうか? 憧れだけではできない。でも、人生賭けてやれば、何とかなる。それが自分にとって何なのか? どんな仕事なのか?そこさえ間違わなければきっと道は開けるはずだ。

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悔いる人

自分にとって涙が止まらないブログでした

20〜30歳まで俳優の道を選びましたが、
ある時は天狗になり努力をヤメ、
ある時はプライベートを優先し、

気が付けば30歳。

結局俳優を諦め、地元に戻って就職しても、
10年を費やしふと自分と向き合えば、
なぜ今普通に働いているのだろうか。
なぜ地元にいるんだろうか。
なぜあの時、努力をしなかったのか。
なぜ諦めたのか。

こんな事ばかり考え、結局仕事も退職。

俳優であるなら一度スポットを浴びたらきっと普通に生きて行く事は難しいのだと思いました。
あの緊張と興奮がまるで昨日の事のように、
今でも鮮明に頭に浮かんでしまいます。

諦めてから痛感します。夢が全てだったと。

35歳を間近に、この夢の置き場所がないまま、
白黒の現実を最期まで過ごすのか、
それとも、
もう一度、いっそ夢と生きるか。

答えは出ているはずなのに、自分の臆病さに泣けてきます。

by 悔いる人 (2018-03-16 01:00) 

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